町制50周年記念「第11回明野薪能」曲目解説

 

狂言「盆 山」

   シテ  所の者
   アド  有徳人

 「盆山」とは、お盆の上に風景をかたどった箱庭のようなものです。
 まず、男が舞台に出てきて名乗ります。世間には盆山がはやっていて、近所には盆山をたくさん持っている人がいるが、けちでひとつもくれない。頼んでもくれないなら、忍び込んでこっそり盗んでこようと思い立ちました。早速出かけていきます。 
 家の前からでは到底入れそうにないので、裏から侵入しようと試みます。まずは垣根を破ります。垣根を破る音の大きさに自分でも驚いてしまいますが、誰も気がつかなかったようだと知って一安心。思わず大声で笑ってしまい、慌てて口をふさぎます。どうやら誰も気がつかなかったようです。というわけで、ようやく垣根を越えると、盆山を物色し始めます。
 あれもいい、これもいいと物色に熱中しているうちに、家の者に気づかれてしまいました。男は慌てて盆山の陰に身を隠します。が、もちろん体全体が隠れるはずもありません。主人はすぐに誰が忍び込んできたか気がつきますが、そしらぬ顔で男をからかいはじめます。
 犬だ、サルだといわれるたびに鳴きまねをして、どうにか切り抜けようと必死です。が、有徳人が次に出したのは難題です。「あれは鯛じゃ」鯛はひれを立てるものだ、と言われ、ひれを立てます。
 最後に、ひれを立てた後では必ず鳴く、と言われます。さあ、これには困りました。何しろ、いままで鯛の鳴き声なんて聞いたことがないんですから。鳴かなければ鉄砲で撃ち殺す、なんておどされて、あわてて鳴きます。「タイタイ」「なんのタイタイ」「タイタイ」シテはぴょんぴょんはねながら幕へ入り、アドが後を追います。

 

能『羽 衣(はごろも)』 

  ワキ   漁夫・白竜(はくりょお)
  ワキヅレ 漁夫
  シテ   天人

 のどかな春のある日、三保(みお)の松原の漁師白竜が漁から帰ってきます。
すると、辺り一面に花ふり妙なる音楽が聞こえよい香が漂っています。さらに松には非常に美しい衣がかかっていたので家に持って帰り家宝にしようと考えます。 そこに天人が現れ、その衣は天人の羽衣といってたやすく人間に与えるものではない、返したまえと言います。
 白竜は、これを聞き天人の羽衣であるならば国の宝ともなすべきである返すことはできないとつっぱねます。天人は羽なき鳥のごとくであると嘆き悲しみます。
 白竜は、この姿を見て哀れに思い、羽衣を返す代償に天人の舞楽を見せてくれと言います。
 天人は喜んで承諾し、返してもらった羽衣をまとい、月宮殿の有り様、三保の松原の春の景色をたたえ舞を舞いつつ空高く上って、やがて富士の彼方霞にまぎれて消えていきます。

 

 

狂言『魚説法(うおぜっぽう)』

  漁師は殺生が嫌になり出家したが、にわか坊主なので経も読めず説教もできない。ある男が堂供養をするために、寺へやって来た。住持は留守で、新発意がお布施欲しさに男の堂へ行く。説教はしたことがないが、それにふさわしく魚の名前を並べて説法をする。

 

能『小鍛冶(こかじ)』 

 

ワキツレ:勅使・橘道成
ワキ: 三条宗近
前シテ: 童子
アイ:末社の神、もしくは宗近の下人
後シテ:霊狐

 一条天皇より剣を打って奉れとの勅命を受けた三条の小鍛冶宗近は、然るべき相槌のいないことに困り、稲荷明神に祈願に出かける。すると気高い童子が現れて、激励の言葉をかける。童子は中国・日本の剣に関する伝説を物語り、心配なく準備に取り掛かれと言って姿を消す。
〈中入〉
 宗近が帰宅して用意を整えて待っていると、霊狐が現れて相槌を務め、名剣・小狐丸を仕上げ、勅使に捧げもって稲荷山へと帰っていく。