「第14回明野薪能」曲目解説

狂言『しびり』

 主人に買物を言いつけられた太郎冠者は、行きたくないので持病のしびりが起こって歩けないと仮病をつかいます。
 冠者のたくらみだろうと悟った主人は、お芝居をして、「伯父のところから振る舞い(ごちそう)に呼ばれたが太郎冠者はしびりを起したので連れて行かれないと返事をせよ」と冠者に聞こえるように言います。
 すると聞きつけた冠者は、しびりは言い聞かせれば治ると言って、なにやら足に言い聞かせて立ちあがると、主人はすかさず治ったのなら買物に行けと言いますが……。

狂言『棒縛(ぼうしばり)』

 主人はいつも自分が外出したすきに、召使いの太郎冠者と次郎冠者が酒蔵の酒を盗み飲んでいることに気づき、ある一計を案じ二人を縄で縛ってから外出します。
 ところが二人は縛られていても酒が飲みたくなり、苦心の末、不自由な恰好のまま大盃に酒をくみ、互いの口まで運んで飲むという珍妙な酒盛りを始めます。気分も良く謡い舞っているところへ主人が帰宅して……。
 太郎冠者が棒を使ってみせるのは、日本古来の武芸の一つ棒術を垣間見せる場面でもあります。

能 『巴(ともえ)』

 木曽の僧(ワキ)が都に上る途中、琵琶湖のほとり、粟津の原で一人の女(前シテ)と出会う。
 女は、木曾義仲の霊を祀る社に参り、涙を流し、僧の義仲の霊を慰めてくれるように頼むと、夕暮の草の陰へ消えていく。
 参詣に来た里の男(アイ)から、僧は、義仲の最期のことや巴御前のことなどを聞かされる。
 僧が弔いをしていると、鎧を着た巴御前(後シテ)の霊が長刀を肩にして現われ、義仲の最期の戦いの様を語り、さらに、一緒に死ぬ事を許されず、自害した義仲の枕もとから小袖と小太刀を形見に、涙ながらに木曾へ帰ったのだとのべ、回向を頼み、又、消え去っていく。