< 豆  知 識 >

 

<薪能とは?>

 もとは「薪の神事」などと称して新年に御薪を寺社に献進する儀式で、一種の春迎えの行事であった。
 奈良時代、興福寺の修二会に、鎮守の杜から東西金堂へ行法のために薪をつむ儀式であり、その時聖者が薪を負うて舞うことが芸能化した。近来、各地で野外能として知られるようになる。


<演者と流派は?>

シテ方 能の主役であるシテ(主役)を出します。ツレ・子方・地謡・後見もシテ方が担当します。
○○流の能といった場合には、このシテ方の流派を指します。
流派は、観世流・宝生流・金春流・金剛流・喜多流の五流があります。
ワキ方 能の脇役であるワキを務める流派で、ワキツレも担当します。
流派は、高安流・福王流・宝生流があります。
狂言方 能の間狂言などの狂言を務めます。狂言として独立して演じることもあります。
流派は、大蔵流・和泉流があります。
笛 方 能の囃子のうち笛を担当。
流派は、一噌流・森田流・藤田流があります。
小鼓方 能の囃子のうち小鼓を担当。
流派は、幸流・幸清流・大倉流・観世流があります。
大鼓方 能の囃子のうち大鼓を担当。
流派は、葛野(カドノ)流・高安流・石井流・大倉流・宝生流があります。
太鼓方 能の囃子のうち太鼓を担当。能によっては太鼓のない曲もあります。
流派は、観世流・金春流があります。



<役別って?>

★シテ方

シ テ 一曲の中心人物
古くは「為手」「仕手」の文字をあて、能に仕える人の意。
シテは一曲の主人公ですが、前後二場あるさいは、「前シテ」「後シテ」の呼称がある。
ツ レ シテの同伴者。「連」。
ツレのなかにはシテと対等する位の役柄がある。
ト モ シテあるいはツレの共として登場する随伴者。
「シテ」「ツレ」の多くは能面を着用するが、トモは能面をかけない。
子 方 少年の勤める役。
「トモ」と同じように能面をかけない。

一曲の中に出てくる人物が子供であるときに子方が勤めるが、本来は大人であるべきときに子供の扮する子方もある。


★ワキ方

ワ  キ シテに対立する位置にある役。
古くは、脇の仕手(為手)などと称している。
シテのように、亡霊やその化身あるいは神体・鬼畜の類として登場することなく、必ず現存の人間として登場する。
能面を着用することはない。
ワキツレ ワキの同伴者。軽い役。
ワキと同様に能面は着用しない。
シテのツレと区別してこのように呼ぶ。


★狂言方

間狂言(アイ) 一曲の能の間に登場して、舞台推移の連絡または説明にあたる役。
略して「アイ」ともいう。


★地謡・後見・囃子方

地  謡 いわゆるコーラス(合唱団)のこと。
シテ方の演者が地謡座に座して、一曲の吟誦部分を謡う。
地あるいは地方ともいう。
地頭という筆頭の地謡がリードする。
後  見 後見もシテ方の役。
文字どうり一曲の舞台を後見する役。
必要に応じてシテをはじめシテ方の焼くの面装束や小道具の世話をする。
囃子方 いわゆる楽団のこと。
能の場合、大鼓・小鼓・笛・太鼓の四楽器。



<能の種類は?>

 能の催しは、一日に五番(五曲)が正式のため、その際に何番目に演じる能かということで、全演目を分類したもので、五番立ての分類と呼ばれている。「序破急」の理論に従って、テンポのゆっくりしたものから次第に早いものへと並べられている。

★初番目物(神能・脇能)
   神・神霊を主人公とするもので、さっそとした能が多く、江戸時代の正式の演能では「翁」につづいて行われた能である。神社の縁起や神威を説き、国の繁栄を予祝し聖代を寿ぐ内容で、演劇性よりも祭祀性の強い作品である。

★二番目物(修羅能)
   仏教では、戦にたずさわった者は、修羅道に堕ちて苦しむという。勇壮なものが多く、主に源平の武将の亡霊がシテで、旅僧の前に現われ、合戦の様子を見せ、死後の責苦を訴え、回向を願う作品が特徴。

★三番目物(鬘物)
   『源氏物語』など王朝文芸のヒロインや歴史上の美女がシテで、その亡霊がありし日の恋物語を回想し静かに舞を舞う。能の理想美である幽玄の風情を追求した情緒豊かな作品。

★四番目物(雑能・現在物)
   他の分類に属さない能が、ここに集められている。狂女をシテとする狂女物や、世間の出来事を現在進行形で進める能で、男女の物狂物、歴史上の武士を主人公とした現在物、非業に死んだ人の執心・怨霊物、中国人をシテとした唐物など曲数が数多くある。

★五番目物(切能・鬼畜能)
   一日の番組の最後に置かれる能。フィナーレ用の見た目も派手なものが多く、人間以外の鬼畜や鬼神・竜神・天狗、また猩々・獅子・山姥など精霊の類や貴人の早舞物などがあり、テンポの速いのが特徴。